MFI投資の行く末

この1年、いや、この半年、MFI(Micro Finance Institutions: マイクロファイナンス機関)に対する期待が妙に高まっている気がしてならない。過剰な期待なのではないか、と危惧している。


大量のメインストリーム金融機関のお金がMFIに投入されてしまう場合、このMFIの流れはどうなるのだろうか。



マイクロファイナンスの仕組みはいわば、毛細血管だ。


ラストマイル(LastMile)とも呼ばれる農村地域や今まで手のとどかなったところに血をいき届かせるために、太い血管では絶対に作ることができないネットワークを広げている。
そこに太い血管の方がしぼみ始めたがゆえに、大量の血流が流れ込んだ場合、その体はどうなるのか?


サブプライムローンを経て、新たに安定的な資金源を探す流れは、一気に加速している。その一方で、Micro Vecto CapitalのようにMFIへの投資だけでなく、今後は広くラストマイルで行われるプロジェクトへのファイナンスへとシフトしていこうとしている機関もある。


日本ではMFI投資もにわかのように一気に沸騰しているが、現在すでにイギリスや他の国ではMFIへの資金投入はどこの機関も検討が終了しているような段階の模様。そしてすでに大体の金融機関が1%〜数%程度の割合で、資金投入をトライアルで入れている様子だ。


この数%が一気にふくれあがった場合、MFIはどうなるのだろうか。MFIがその受け皿となるだけの母体があるか、それとも、その機能を完全に喪失して、結局MFの良い性質が失われた血流が流れ始めてしまうのではないか・・・。


MFの成功の鍵が見つかっていない段階で、ここまでの資金流入と過剰投資が行われていくことに危惧を感じるのは、MFの仕組み自体を完全に理解できないまま、成功要因が欠如した仕組みが蔓延してしまって、最終的に「やっぱり貧困層へは金なんか貸すもんじゃない」というレピュテーションで終わってしまうんじゃないか、という不安からだ。



最後の結末が見えない物語を突き進むのは、恐ろしい。しかも、いやな予感がする時はなおさらだ。