宮城壮太郎さんお悔やみ申し上げます
「世界を変えるデザイン」関係で、2009年12月に産業デザイン振興協会のラボで行った、セッションに来てくださり、その後も、メールでやりとりを数度させていただいた、宮城さんがお亡くなりになりました。昨日告別式だったと知りました。
ご冥福お祈り申し上げます。
宮城さんとはメールのやりとりだけだったのですが、新聞で訃報を見て、とっても心が苦しくなりました。
今まで日本のプロダクトデザインを引っ張ってきた方が、60歳を過ぎて尚、世界を変えるデザインに興味を持っていただいたことが私には印象的で、こうした方のお力になれるなら、と思っておりました。
が、私の努力不足でお力届かず、間に合いませんでしたが、これからもがんばります。
宮城さんとメールのやりとりをした時のことを思い出し、少し抜粋させていただきます。
ラウンドテーブル参加させていただきありがとうございました。槌屋さんはじめ皆様の行動力に感服でした。
所用があったため最後まで参加できず、17:00ごろ抜けました。デザイン振興会の鈴木紗英さんからこの集まりを伺い参加しました。僕はフリーランスのデザイナーですが、鈴木さんが通う法政大学大学院で非常勤講師もやっており、その授業の一環でDesign for the other 90% を取り上げました。
クーパーヒューイットでやっていると何かで読んで、すぐニューヨークに見に行きました。僕の関心は あくまでも デザイナーとして 今までのデザイン(僕のことは棚に上げデザイン全般)は本当に世界中の人の為に立っていたのだろうか?ひょっとしたらその逆で、人を不幸にしたり ねたみの気持ちを拡げてしまったり・・・・・してきたのではないだろうか という点です。
デザイナーとして デザインという行為を通じて 人のために何が出来るか 何が出来ないのか 何をすべきか 何をしてはいけないのか・・・・ という自問自答 とともに デザインを志す後進に 少しでも この思いを伝えたいと思っています。最近は情報に疎く BOP、BOPビジネス という言葉は今回初めて知りました。第一印象は、槌屋さんもお話のなかで危惧されていましたが、先進国が後進国を金儲けの対象としか見ていない・・・僕の考えとは180度違う概念かと思いました。
しかし槌屋さんのお話を伺ったり、書かれたものを読ませていただくと その逆で そういう企業を正しく導く、コミュニティーを基盤に、地元のNPO、NGOと協同する というのがベースにあるのだ ということが理解できたような気がします。
僕の友人(女性3人で)でカンボジアに行って 現地の女性に 伝統的な織物(クロマー)を再認識させ、品質指導、デザイン指導、日本での販売を している人たちがいます。別にものを売りつけるわけでも無く ノウハウをちょっとだけ教えて それを日本で宣伝する活動を行うことで 現地の女性達が身体を売らずにすむ ということを実践しています。
Design for the other 90%で見た 水を転がして運ぶドーナツ状の容器を見た時は目からウロコで、涙が出るほどこのアイデアを素晴らしいと思いました。ただ最近思うのは 何もプラスチックでその容器を作るのはなく、現地で手に入る材料をもう少し使えないのかな と思っています。バナナの葉っぱと枝で(まるで原始家族の漫画みたいですが)作れないのだろうか?と。
食に限らず モノ作りも地産地消が大事かな と最近 フト思ったりしています。
インドで タタ が浄水器ビジネスを始めた という記事が今日読んだ新聞に出ていましたが、やはり現地の人たちがビジネスを開花させることが第一だし 我々は 影ながらサポートすることしかないのではないでしょうか?(super money maker・・って名前が最高ですね)
そうそうDesign for the other 90%で 水、保健衛生、トランスポーテーション、教育、、、など分類されていましたが それぞれの分野で アプローチの仕方がずいぶん違うのではないかと思います。
BOPという言葉は ベースだろうがボトムだろうが すっごく 嫌な言葉だと思います。ここにおけるピラミッドは モノとか利便性とか経済熟成度とか科学技術度 での話であって 幸せ度ではないからです。また あくまでも比較をすることが原点にあり、ベースを引き上げたら 次にまたベースが発生する というヒエラルキーを前提とした論理のような気もします。確信は無いですが アメリカ型資本主義 なのかな とも。
改めて述べますが 槌屋さんはじめ 若い皆様の 行動力、問題意識の持ち方、グローバルな視点 などについて 感服すると同時に 是非 これからも社会的に良い方向で影響を与えることを希望するとともに期待しています。
私も、この「嫌な言葉」をいつまで使わなくちゃいけないのか、正直苦しむことが多いです。
普段は使わないのですが、外では「使って欲しい」といわれることもしばしばです。その方が伝わりやすいというのですが、それが本当に「ウェル・デザインされた」言葉なのでしょうか?
「ボリュームゾーン」という言葉もしかり。現場を知っている人間には違和感を、そして、それを使わなければならないことへの非常に悲しい気分に陥らせる言葉であることに代わりはありません。
宮城さんは短時間で本当に真実を突き抜けて見ていらして、私はたくさんお話がしたかったです。悲しい思いでいっぱいですが、宮城さんが残された作品やデザインを見ながら、少しでもその考え方に近づけるようがんばりたいと思います。