投資銘柄にBOP銘柄 社会的投資について

BOPビジネスと関連銘柄という記事を発見し、面白く読みました。株式会社ティー・アイ・ダブリュの西村 尚純さんの解説です。
http://money.minkabu.jp/8186
http://money.minkabu.jp/8377

モーニングスターに私も取材をいただきました。
http://www.morningstar.co.jp/event/brics/rising_nation/interview/int_01.html


BOPビジネスが投資銘柄として注目されている、というのは面白いと思います。SRIアナリシスをやっていた時にもBOPビジネス銘柄というのはありか、という話題は出たのですが、短期的投資には全く向かない要素だと思いますので、機関投資家には向かない様子。よほどCSR的観点の一環でない限り、投資信託などはできないでしょうが、個人の方が長期に持つにはいい銘柄のはずです。愛着を持って、この企業はこういう活動をこの地域に展開するというところへ「支持」を表明する形でサポートし、それと同時に安定的な海外戦略の成果が見えてくることで長期的なベネフィットを得られるでしょう。


こういうお金の流れが、いかに企業の経営判断を左右するようになるか、も重要です。


大型の個人株主や篤志家などが多い(特に欧州の)市場では、個人のお金がサステナブルな投資に向けられる割合が高いようで、その結果、企業活動が活発になっているようです。

イギリスやアメリカでは金融工学に基づいた短期的な投資活動がメインの市場のようなので、BOP銘柄などへ特別に注目をするという動きはそこまで強くなく、新興国株の一環としている様子です。

一方、大陸方面やたまにいる篤志家・個人投資家の話を聞くと「これは!!」と思う投資手法で、サステナブルなビジネスへ大規模投資をする人も多くいます。
長期的な利益を見越した上での判断ですが、それにしても新規性の高いサステナブルなビジネスに最初から着手し、技術や市場情報を収集するその様は、本当に「よく研究し、最先端を見つける」のが上手だと拍手を送らざるをえません。そんじょそこらのビジネススクールよりもはるかに研究している個人投資家がよくいます。

そういう姿を見ていて思うのは、「調べ」「そしてコミットし」「リスクを共に取る」という彼らの行動が指し示す方向に、「これからの企業」が向かう道の一つがあるのかもしれない、ということです。
それだけ人を引き付け、人から支持され、新しいものを作りだすために腐心する力は、企業の力として絶大なものだと思います。


実はダノンの活動もこうした投資家や株主の働きによって支持され、今に至ったという経緯と発端を考えると、本当に投資家・株主というのはすごい力だな、と思うばかりです。


日本には大型個人投資家が少なく、また長期的な投資に対する研究と理解が進んでいない様子を受けます。
まだまだお金の流れを変えるという考えは一般的ではないためですが、それ以上に、「投資家がこれからの企業のあるべき姿を考える」という大前提にたったお金の存在意義を考える人が少ないのかもしれません。


社会的投資という言葉がうわすべりにならず、着々と日本市場の中で深化していくことを願うばかりです。