ネクストボリュームゾーン?
最近、日本に帰ってきて「ボリュームゾーン」という言葉をよく聞くので何かと思ったら、BOP層は将来のボリュームゾーンだという。
うーん、その「将来」はおそらく20年くらい先かもしれません。それでもボリュームゾーンというのであればいいと思いますが・・・
正直、世界のBOP研究の潮流で、BOP層をボリュームゾーンとして考えている流れは、2005年くらいで沈静化しました。なので、少し流行遅れかな、という印象です。
昨今、「ボリュームゾーン」に値する単語とBOPとをあわせて聞くことは、海外においては本当に少なくなりました。
BOP戦略フォーラムでも8月ぐらいにそういった記事があり、端的に示されていますが、うなずける内容です。
http://bopstrategy.blogspot.com/2009/08/bop_22.html
やはり日本企業がこのダウンターンの時期において、新興市場やBOPビジネスに対する過度な期待をしているように感じますが、現地に行くとわかりますが、あの農村部がボリュームゾーンとして認識されるまでに、やらねばならない必要な作業は数限りなくあります。
それらを着実に行ってからボリュームゾーンというのならいいのですが、その計画を立てぬ間に将来的な価値ばかりを計算すると、とらぬ狸の皮算用です。
実はそのボリュームゾーンに至るまでに出てくる様々な派生ビジネスや発想、技術、そして優秀な人材との交流、こういったものが最も重要なのであって、ボリュームゾーンになるまで待っているのがBOPビジネスではないのです。
人を育て、コミュニティが形成されていくのを待ち、共に生活レベルを上げていこうとする努力や意気込みが生まれない限り、そして、そういった経緯に積極的に関っていこうとしない限り、BOP市場は決してボリュームゾーンにはならないです。
そして、他者が外からやってきてその市場をボリュームゾーンへと昇華させていくのではなく、彼ら自身がオーナーシップを持って、ボリュームゾーンへと変質していく姿を、じっと見守りながら共に変質していくことが重要なのだと思っています。
さて、来年も、早速現場に行きたいと思います。ボリュームゾーンを作り出すには、現場に足を運ぶことです。現場に行かず、ボリュームゾーンになるのを指をくわえて待っているのであれば、20年も50年もかかるでしょう。
来年も足を使って、生きていこうと思います。