高津さんとの対話6時間

人生に滅多とない出会いと、人生に滅多とないチャンスというのは、こういうことを言うのだろう、と思った。


今回の日本帰国のメイン仕事であったビジネス・ブレークスルー大学院で放映するための講義「BOP市場の事業開発とイノベーション」は、6回講義で行った。1週間強で、6回分撮りきりという強行スケジュールで、スタジオに一日4時間〜5時間こもって、番組の収録をさせていただいた。


現場スタッフの皆様には大感謝で、本当に私の「途上国なみの無秩序さ」や「他人にもがんがん強いる臨機応変力」みたいなところを、柔軟に裁いていただいたので、本当に頭が上がらない。感謝の言葉に尽くせない。豚もおだてれば木に登るというが、現場スタッフでずっとついていてくださったKさんが、何度も「面白いです」といってくださったおかげで、6時間分の収録中、ずっと熱弁ふるってしまった。


そして、なんとも優雅で、贅沢な時間だと思ったのは、高津尚志さんにキャスターになっていただき、色々話を引き出していただいたこと。元々、番組編成の際に「槌屋さんは一人で講義を淡々としゃべるキャラじゃないな」と判断していただいて、「キャスターの方はどなたがいいでしょう?」とお話いただいた。

元々JFeelにいらっしゃった野田稔さんには年始のNHKでご一緒させていただいていて、同じJFeelで働いていらっしゃった高津さんとも昨年末に英治出版のブッククラブでお会いしていた。色んな縁を感じて、高津さんには年末年始に本当にお世話になりっぱなしであった。


高津さんはデザインを勉強されていて、桑沢デザイン研究所を卒業されている。
経営はデザイン、デザイン思考、といった文言をご一緒に考えると、本当に面白い。アフォーダンスってそういう風に理解するのか!とか。

「世界を変えるデザイン」についても、高津さんとお話していると、経営層になぜ響くのかよく分かる。ただ単にFUNだからではなく、理路整然と時代が必要としている思想やデザインのあり方について、分かりやすく語ってくださるため、なるほど、だからこれがそう繋がるのか、と理解できる。時代の空気や時代感といったものを、じっくりと高津フィルターを通して話してくださるのと、普段から多くの経営層や高津さんの同世代の方々とお話されているので、自然と目線が高い場合どう見えるだろうか、というのが分かる。本当にお話していて、心地よく、様々な「ドットをつなげあう」ことができる方である。

こうした方にお会いできたのも、英治出版の高野さんはじめとする皆さんにお世話になってきたからで、縁は縁を呼ぶ。素敵な出会いは素敵な出会いを生み、素敵なアイデアを生む。


現在執筆を続けているが、経済思想とはなんだろうかと常日頃考えてしまう。
今回の第6回シリーズ収録で、自分が伝えたい思想を言語化できた。ある意味、高津さんにメンターとなって入っていただき、生の情報が蓄積し続ける私の頭の中を整理していただいた形だった。毎月のようにBOP市場に足を運ぶと、生のデータ、生の顔・ペルソナ、生の人々の生活や言葉が、次々と入っては消えていく私の頭の中はごちゃごちゃしていた。あれは、これと繋がりそうだが、繋がる最後の線が見えない、ということもしょっちゅうだった。


今回、東京で高津さんとの10何時間という時間を経て、そうしたもののドット・コネクトが明確になったように思う。こうしたメンター的存在の方がいることに、神様に最大の感謝をささげると共に、こうした方々を元気にできる存在であり続けたいと思う。


なので、現場に行き、また元気をもらってきます。メンターになってくれる過去と未来の様々な皆さんにお会いできるようになるために…。


現在、中国の農村部にて。
また、多くの感動する人と心に触れて、帰りたいと思います。