成功と失敗の考え方

グランマさんのtwitterをみていたら、METI(経済産業省)/NRI(野村総研)さんが現在収集している事例とともに、成功と失敗事例についての記載あり。

http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g91002a09j.pdf

経済産業省さんの切り口だと、やはりこういう形にきる感じになるんですね。なるほど…。
何をもって成功と呼ぶかは難しいよなあ、やっぱり。と思いました。


よく成功事例はなんですか、失敗事例も教えてください、と言われるのですが、まず、私にはこの回答に二つのプリンシプルを持って接しています。


1つは、「あなたの言っている成功と失敗の定義は何か」を問うこと。

2つ目は、そのクライテリア・定義に照らし合わせて、現段階では失敗と思われるものを名前をあげることはしますが、あくまでも「外野から見て、そう見える」というだけだということをはっきりさせること。


この資料をみる限り、「市場進出ができたかどうか」「商品の売上がたったかどうか」を一番に見ているようですね。


まず経営学者ではなく、私はどちらかというとイントラプレナー側に立って物事をみますから、そこでスタンスが違うのだな、と感じます。
冷静にビジネスモデルを判断することは私の仕事ではないようです。性格的にも私にはそれができないのでしょう。


私自身がそのイントラプレナー達に会ってきているからなのですが、彼らにとってみれば「成功」「失敗」と切り捨てられるもんじゃないんです。


例えば、キックスタートの事例が失敗事例とされていましたが、収益性からいえばそれは失敗と言われるでしょうね、と思わざるを得ません。
しかし、キックスタートはもともとNon Profitで始めており、彼らにとって収益よりも優先したい事項があるわけです。


また中には、研究開発の途上のものが多々あります。一定の方向に向かって開発を進めている途中なのに、外野が色々視察しに来て、これは成功だ、あれは成功じゃないと言われたら、結構がっかりするだろうな、と思います。
実際BOPビジネスの現場で、「アメリカのビジネススクールの人たちがくるんだけど、彼らはカードを並べて比較したいだけでしょう?私たちは明日の生活にも困っている人たちを横眼に、必至でどうにかならないもんか試行錯誤しているだけで、彼らの目なんて着にしていないよ。彼らはぼくらのお客さんじゃないし」という言葉を何度か聞きました。


そう、このビジネスがみるべき相手は、お客さんであり、BOP層そのものがどう思うかなのです。


昨日の日本からBOP事業に乗り出している人たちからも、重要なキーワードがでてきていて、すごく面白かったです。


「あなたが現地に与えたいインパクトはなんですか」と聞いたところ、アシルさん「Income Generation for the poor」、金平さん「Opportunity」と即答。


もしこうしたものを「成功の定義」とするならば、それはまた違った尺度になる。そして、その考え方をグラミンやBracはしているわけで、その考え方の違いの上でもビジネスが成り立っていくためにはどうすればいいか。
ビジネスは経済的にサステインさせるために必要なのであって、第一の目的ではないんですね。


こうした議論がもっともっと日本で起こって、多くの人が語るようになるのは来年になるでしょう。そのための仕掛けを、今、みんなが少しずつ、はじめています。